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院長講座「便秘症」

2021-09-27

便秘症は、「よくある病気で、たいしたことではない」と 考えられがちですが、便秘症のお子さんは、便をするときに とても痛い思いをしたり、苦しんだりしてることが多く、 決してほっておいてよい病気ではありません。

また、便秘症は、放置しておくとだんだん悪くなることが多い病気です。その理由は、硬い便を出して肛門が切れ、痛い思いをすると、小さいお子さんは、排便の必要性を理解していないので、次の排便を我慢したり、肛門の筋肉を締めながら息むようになります。極端な例では、両足を閉じて便を我慢します。便はしばらく我慢していると、出たくなくなりますから、そのまま大腸に便が残ります。すると便はどんどん硬くなり、いよいよ出る時には非常な痛みをともなうことになり、お子さんは益々便を我慢するようになり、悪循環となります。そのようなことが続いていると、腸がだんだん鈍感になっていきます。すると便が長く腸にとどまって硬くなっていきます。このような2重の悪循環がおこるために、慢性の便秘症となってしまいます。そして、慢性の便秘症を放置すると、きちんと排便する機能が備わらず、大人になった後も便秘で悩むようになる場合があります。また正しい排便習慣を身につけないと、イライラや多動などその子の精神状態にも悪影響を及ぼす可能性があるとも言われています。

では、具体的にどのように対処すれば良いでしょうか。大きく食事などの生活から改善させていくものと薬剤などでサポートするものがあります。

食事は、食物繊維を多く含む、食材を使った料理がおすすめです。リンゴやバナナ、じゃがいも、さつまいも、納豆などの食材を毎日の食事に積極的に取り入れるほか、腸の動きを良くしたり、便を柔らかくしたりする効果が期待できるオイルの追加もおすすめです。スープや煮物などにオリーブオイルなどを入れてあげることで、排便状態を改善させられる場合があります。また、規則正しいトイレの時間を作ることも大事で、毎日決まった時間に排便をする習慣を、身につけさせてあげるようにしましょう。よく水分を増やすことが便秘を改善させると思われがちですが、水分量を増やしても便秘は改善されないことがわかっています。このようなご家庭でのケアを行っても、便秘症が改善できないような場合、すでに排便を我慢する傾向にある場合は、便を柔らかくするお薬や、便を出しやすくするお薬などを使った薬物療法を行います。

先に触れましたが、便秘症は早くからサポートすることが大切です。排便を嫌いになっている様子があれば、早期からお薬のサポートを行うことが重要です。

こどものクリニック中山医院 院長

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