院長講座「虫刺され」
虫刺されとは、吸血性の蚊、ブヨ、ダニ、ノミや、身体に毒を持ったハチ、毛虫、ムカデ、クモなどに刺されて起きる皮膚炎のことで、医学的には「虫刺症(ちゅうししょう)」といいます。
虫の毒液や、虫の唾液成分などが皮膚の中に入って、皮膚に炎症が起き、痛みやかゆみ、赤みや腫れ、ブツブツ、水ぶくれなどの症状が出ます。
まず、何かに刺されたら、患部をこすらず冷水で洗い、よく冷やします。毛虫に刺された時は、
こすると肌に残った毒毛を広げてしまうことがあるので、粘着テープなどで毒毛を取り除いてから、石鹸とシャワーで洗い流しましょう。
軽症であれば市販のかゆみ止め外用薬でもよいですが、3日ほど使用してよくなってこない場合や赤みやかゆみが強い場合は、ステロイド外用薬、抗ヒスタミン薬やステロイドの内服薬が、必要になるので、医療機関を受診してください。特に、ブユや毛虫、ムカデやハチなどによる虫刺されは、
かゆみが強く、症状が長引きます。掻き壊してしまうと、細菌による二次感染(とびひ)の原因になったり、痕が残ったりすることがあるので、掻き壊す前に充分な強さのステロイド外用剤を使って、
しっかり炎症を抑えるのが、早くきれいに治すための近道です。
ただ、これらの治療はあくまで現在の皮膚症状を抑えるのが目的であり、原因虫からの回避、
あるいはその駆除対策を実施しなければ新たな虫さされが起こります。イエダニの場合はその宿主であるネズミの駆除が必要です。蚊やブユなどの吸血性の節足動物に対する予防対策として、野外活動の際には肌を露出しないことが重要です。また、携帯用蚊取りや、防虫スプレ-などの忌避剤を用いることで、ある程度の防除は可能です。なお、虫除け剤(忌避剤)の代表であるディートには、
小児に対する使用上の注意として、顔には使用しないこと、生後6ヶ月未満の乳児には使用しないこと、2歳未満の幼児では1日1回、2歳以上12歳未満の小児では1日1~3回の使用にとどめることなどがありますので、必要に応じて適切に使ってください。
こどものクリニック中山医院 院長
栄養士講座「熱中症の予防をしましょう」
梅雨のじめじめした日が続いています。
気温がそれほど高くなくても、湿度が高い日には熱中症の危険度が増すことを知っていますか。
もともと、熱中症を引き起こす条件には気温や湿度が高いこと、急に暑くなった、激しい運動をする、不適切な水分補給(脱水)などがあり、乳幼児や高齢者、肥満者に起きやすいとされています。最近、WBGTという暑さ指数を耳にすることが増えてきました。これは気温と相対湿度の関係をみて、注意~危険までの段階を示すものです。
例えば、気温26度・湿度90%の日と、気温35度・湿度35%の日ではどちらもWBGTは厳重警戒ということになり、熱中症の危険度は同じくらい高くなります。
体内の水分量が少なくなると、微熱、口渇感、尿や発汗の減少などが症状として現れ脱水状態となります。忘れずに水分補給をこまめにすることが大事です。
元気な時には水や麦茶で構いません。経口補水液は、予防に使用するのではなく病症者用です。
症状のない時には常用しないようにして、医師や看護師、管理栄養士などの指示のもとに飲むようにします。脱水・熱中症が疑われるときには早めに医療機関を受診しましょう。
メイプル薬局管理栄養士 佐野文美
院長講座「日焼け」
日焼けは紫外線によるやけどです。重症化すると、赤く腫れたり、水疱ができてひどく痛んだり
します。日焼けの面積によっては、熱が出たり、脱水症状を起こしてぐったりすることもあります。
小さな子どもは体表面積が小さいので、腕1本分の日焼けでも重症と見なされます。
たかが日焼けと油断してはいけません。強い紫外線に長時間さらされると皮膚の中までダメージが
進みます。広い範囲で赤くなったり、水疱ができたりします。水疱が破れると、細菌感染してあとが残ることもあります。早めに小児科や皮膚科を受診するようにしましょう。
また、ひどい日焼けをすると脱水症状を起こして、発熱、ぐったりするなどの全身の症状が現れる
ことがあります。
水分補給して涼しい場所で休ませても症状がよくならない場合は、急いで受診しましょう。
予防策として
●紫外線が強い季節に外出するときは、紫外線が少ない時間帯(10~15時以外)にする
●外出時は通気性のいい薄手の長袖・長ズボン、帽子をかぶらせる
●ベビーカーのほろを降ろす、日傘をさす
●日陰や屋根のある場所で、短時間過ごすだけにとどめる
●乳幼児用の日焼け止めを塗る
・赤ちゃん用であること ・SPFは15〜20程度、PAは++程度
・お湯や石鹸で落とせるもの ・口に入っても大丈夫な成分でできていること
・紫外線吸着剤が不使用のもの
日焼け後のケアとして
●冷たいタオルなどで患部を冷やします。冷えピタは、局所の熱を吸収するだけです。
必ず、皮膚に冷気をあたえてください。
●お湯につかると、日焼けした部分が痛むので、ぬるめの温度に設定したシャワーで洗い流します。
肌を刺激しないように水圧も弱くしましょう。
●日焼けした部分は乾燥しています。
(保湿ローションを塗らないとカサカサになってかゆみが出たり、
炎症がひどくなることがあります。)
医療機関へ受診の目安
●赤くなっている面積が広い ● 水疱ができている ● 皮膚がむけた
●特にぐったりして熱がある、脱水症状を起こしている場合は速やかな受診が必要です。
こどものクリニック中山医院 院長
栄養士講座「毎年6月は食育月間です」
じわじわ気温が上がり始めていますね。体調の変化に注意して過ごしていますか?
6月は食育月間です。平成17年に食育基本法が制定・施行されて16年目になります。
毎日の食について、何についてでも構いません。ご家族で見直したり話し合ったりしてみませんか。
例えば、好き嫌いを克服するために色々な食べ物にチャレンジすることも良いですね。野菜嫌いな人は、匂いが苦手なのか、食感が嫌いなのか、味そのものなのか理由は様々です。
野菜に含まれるビタミン類やミネラル類、食物繊維が不足しがちになるので、少しでも食べられるものから増やしていきましょう。苦手な野菜を素揚げにして、カレーライスに乗せて食べてみるのはいかがでしょうか。
チーズやマヨネーズとあわせてグラタンにするのもおすすめです。味が変わると食べられることもありますし、食わず嫌いのこともありますので、違う料理にして食べてみるなどしてみてください。
食材が本当においしい旬の時期に食べてみる、新鮮なものを使うだけでも違います。出来れば自分で野菜を育ててみるのも良いでしょう。ぜひ、食べることについて、考えてみてください。
メイプル 管理栄養士 佐野文美
院長講座「あせも」
あせもは、夏に多くみられる皮膚トラブルのひとつで、大量の汗をかくことで汗腺が詰まり、皮膚内に汗がたまって生じます。
こんな書き方をすると汗が悪者のように思われてしまいますが、汗の成分はその9割が水分で、残りも塩分やミネラルなど、体にとって必要なものばかりで、けっして汗そのものが不衛生というわけではありません。
むしろ皮膚を乾燥から守ったり、体温を調節したりするなど、私たちの体にとって重要な役割を担っています。とくに夏は汗をかくことで体温を下げる効果があるため、汗はきちんとかいた方が良いのです。
ただ、たくさん汗をかいた後、放置するとあせもなどの皮膚トラブルを引き起こすため、自分で汗をふけない小さな子どもは特に、あせもができやすくなります。
では、子どものあせもはどうやって治しましょうか。
●おむつはこまめに取り替える
●直接肌にあたる衣類は、吸水性・通気性が高いものを選ぶ
●定期的に、汗をかいていないかチェックする
●汗をかいたら、こまめに乾いたハンカチやタオルでやさしく拭き取る
●大量に汗をかいたら、ぬるめのシャワーや沐浴で汗を流す
●かゆみが強い場合は、冷たいタオルなどで冷やす
適切なスキンケアであせもはある程度治りますが、ひどい場合には、
ステロイド外用剤の使用が必要です。
こどものクリニック中山医院 院長