同時接種の安全性に関する報告
トイレのふたを占めないで流すことで感染性胃腸炎になる?
英、リーズ大学のMark Wilcox教授らの調査により、用を足した後に、トイレのふたを閉めないで水を流すと、便の中のノロウイルスなどの微生物が空中に拡散し、細菌感染する可能性が高くなることが判明したそうです。Mark Wilcox教授らは、用を足した後に、トイレのふたを閉めずに水を流した場合の、微生物の飛距離と滞空時間を測定。結果、トイレの便座の上空25.4cmまで微生物が飛散し、90分間も空中に浮遊していることが判明したと言っています。
ふたを閉めずに水を流すことにより、便座だけでなく、床を含むあなたの周辺に細菌が拡散し、嘔吐下痢症といった疾患に感染する可能性があるそうです。日本の和式便所には、ほとんどふたがなく、近年、小学校などでは、トイレ専用の履き物を設置しないところも多いため、これらの改善で学校内感染も減らせるかもしれませんね。
三種混合ワクチンでおたふくかぜ激減?
なんのことだ?と思われる方が多いのではないのでしょうか?11月5日に米国小児科学会から発表された論文です。アメリカでは三種混合ワクチンは日本と同じDPT(ジフテリア・百日咳・破傷風)ではなく、MMR(はしか、風疹、おたふく風邪)をさします。というのもアメリカではとっくの昔にDTPはDTP−IPV(DTPに不活化ポリオが加わった四種混合)になっているからです。
本題です。
米国疾病対策センター(CDC)を中心とした研究グループは、米国ニューヨークの11歳から17歳を対象として、3回目の3種混合ワクチン(MMR)の接種を実施した。この結果、この年齢層の流行性耳下腺炎の発症を96%抑制。さらに、地域での発症を76.5%も減らした。
現在、日本は、おたふくかぜワクチンの定期接種を検討しているレベルですが、アメリカはとっくに定期接種としていて、かつ2回接種をしていて、3回接種をするかの検討をしているレベルで、また、日本のワクチン行政の遅れを実感する報告でした。
インフルエンザの薬、どれがいい?
先日、インフルエンザに関する講演会に行ってきました。そこで、興味深い報告が紹介されていました。
インフルエンザの薬、どれが一番解熱までの時間が短いかです。(昨年の研究結果)
現在、インフルエンザの薬には、タミフル(飲み薬)、リレンザ(吸入)、イナビル(吸入)、ラピアクタ(点滴)の4種類がありますが、こどもに使うにはこれらの薬の投与法が問題になります。
注射薬は15分以上掛けて点滴をしなければいけないので、外来で小さな子に点滴するのは、現実的ではありません。
吸入薬はしっかり肺の中までを吸い込まなければいけませんから、通常は上手に吸入出来る年齢である6~7歳以上に使用します。2吸入を一日2回、5日間吸入するリレンザと2吸入1回だけで済んでしまうイナビルがありますが、小児では咳込んで上手く吸入出来ないこともあるので、イナビルは難しい面があります。
10代は、異常行動の問題があったので、原則タミフル処方は制限されていますので(種々の調査、研究から、飛び降りなどの異常行動はタミフルのせいではなく、インフルエンザの神経症状だと考えられていますが・・・)吸入剤を処方することになります。
本題に戻りますが、昨シーズンはA型(香港型)とB型が流行し、いわゆる新型の報告はありませんでした。
A香港型に関しては、解熱までの時間はどの薬とも30時間前後で、薬剤間の効果の差はありませんでした。
B型では、タミフルとイナビルが約38時間であるのに対して、リレンザは32時間弱と、若干解熱までの時間が短い傾向が見られました。
因みに、ラピアクタ(点滴)は使用症例数が少なすぎて、解析の対象から外されていました。
今年もインフルエンザのシーズンが近づいておりますが、これらを参考にしながら、処方していこうと思っています。