インフォメーション

栄養士講座「栄養素の組み合わせが大切です」

2022年02月03日

酷寒の日が続いていますが、元気にお過ごしでしょうか。

毎日の食事から摂っている栄養素は、単独で働くのではなく、栄養素同士が複雑に関係しあって役割を果たしていることを知っていますか。
効率よく栄養を吸収したり利用したりするには、多くの栄養素をバランスよく摂る必要があります。例えば、貧血予防に鉄分を摂取するときには、ビタミンCと組み合わせることで体内での吸収率が上がります。また、骨を強くするカルシウムは、ビタミンDによって吸収率が高まります。他にも、吸収の効率を上げる栄養素の組み合わせはたくさんありますが、大切なのは様々な食材を使って偏った食べ方をしないことです。炭水化物、たんぱく質、脂質、ビタミン、無機質(ミネラル)を6大栄養素といいますが、これに食物繊維をプラスすると、より良いといわれています。
炭水化物ばかりになったり、たんぱく質だけ、野菜だけになったりしないようこころがけて、バランスよく栄養素を摂取しましょう。

 

メイプル薬局管理栄養士 佐野文美

院長講座「遅れている日本のワクチン事情」

2022年01月24日

就学前(5-6歳)の3種混合ワクチンについて
2000年代以降、百日咳患者の増加が世界的に問題となっています。
百日咳に対する抗体(免疫)が含まれる予防接種として、多くの人は0歳時に3種混合ワクチン(現在は4種混合ワクチン)を3回接種し、1歳時に追加接種し、合計4回接種をします。その効果もあり、1歳代の抗体保有率は90%を超えています。従来この抗体保有は、大人になるまで保持されるとされてきましたが、4回のワクチン接種終了後抗体保有率は減少し、5-6歳では30%以下になっていることが最近の研究で分かってきています。

その後、5歳以降は再び抗体保有率が上昇しますが、これは自然感染によるものと、考えられています。実際、日本における年齢別の報告数を見てみると、おおよそ6-14歳の人で多くなっています。もし6-14歳の子たちで流行してしまうと、重症化してしまう人は少ないものの、小中学校での集団感染が起こり、しばしば、地域的な流行が起きてしまいます。この流行から、ワクチン未接種の乳児(特にその子たちの弟、妹)に感染してしまった場合、命に関わってしまうこともあります。このことから、多くの先進国ではすでに、百日咳含有ワクチンの接種が就学前・学童期に組み込まれているのです。

 

不活化ポリオワクチンについて
ポリオについてですが、ポリオウイルスとは、急性灰白髄炎の原因となるウイルスで、重症な場合、手足の麻痺などの後遺症を引き起こすウイルスです。現在ワクチンの開発により、世界的にポリオ発生報告数は、大幅に減少しています。日本では従来「経口生ポリオワクチン(OPV)」が流通しておりましたが、2012年に安全性の高い「不活化ポリオワクチンIPV」に切り替わり、現在は、4種混合ワクチン(DPT-IPV)に含まれ、多くの方がIPVを接種されています。IPVは、OPVよりも抗体保持が低く、IPVで接種を勧める場合、幼児期での追加接種のほうが長期的に抗体保持されやすいとされているため、幼児期での追加接種が必要です。すでに多くの国で、4歳以降の追加接種は導入されておりますが、日本ではまだ、定期接種では行われておりません。ポリオの自然発生報告は、アフガニスタン・パキスタン・ナイジェリアで、報告されているのみで、日本での報告はありません。しかし、海外から持ち込まれる可能性はゼロではありませんし、実際に、国内の下水から、ポリオウイルスの検出の報告もあります。

アメリカ、カナダ、ドイツ、イギリス、フランスなどの先進国の国々では就学前(5歳時)に、3種混合ワクチン、ポリオワクチンの追加接種が定期接種(公費負担)として、何年も前から行われています。残念なことに予防接種行政の遅れている日本では、まだ行われておりません。乳児の百日咳の危険をなくすため、そしてポリオウイルスの感染の危険はまだあるため、就学前の、これらのワクチンの接種を、おすすめしております。

こどものクリニック中山医院 院長

栄養士講座「日本の食文化」

2022年01月13日

毎日寒い日が続いていますが体調を崩していませんか。
1月は元旦にはじまり、日本の伝統行事がいくつかありますね。
日本ならではの食文化をあなたは知っていますか。お正月に食べるおせち料理にはそれぞれ由来があります。例えば数の子は卵がたくさんあるので子孫繁栄に、黒豆はまめで健康に暮らせますようにという意味が、海老には腰が曲がるまで長生きするように長寿の願いが込められています。お雑煮も地方によって味や食材が様々です。餅も丸餅、角餅、汁もしょうゆのすまし仕立て、みそ仕立てのほか、入れる具も鶏肉だったり魚だったりします。7日には七草がゆを食べて、お正月で食べ過ぎた体を、休める意味があります。11日は鏡開きです。お正月に、飾った鏡餅を開いて(切る、割るという意味です)お汁粉やお雑煮にして食べます。15日ごろには小正月といって、地域によっては、繭玉を飾ったり、どんど焼きをしたりしますね。このように色々な行事がありますので、食文化に触れ、お子さんと一緒に体験することも、食育のひとつです。

メイプル薬局管理栄養士 佐野文美

院長講座「子宮頸がんワクチン」

2021年11月30日

子宮頸がんは子宮の入口(頸部)にできるがんで、日本では毎年1万人が子宮頸がんにかかり、約3千人が亡くなっており、近年は若い世代で多くなっておりピークは30代です。

20代、30代の女性で子宮頸がんのために妊娠できなくなる女性が毎年1200人います。なぜなら子宮頸がんは初期でも治療は広範囲に子宮を摘出することになるからです。それゆえ、子宮頸がんはマザーキラーと呼ばれています。この妊娠・出産・子育ての時期に罹患してしまう子宮頸がんの殆どは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が原因と言われており、特に2つのタイプ(HPV16型と18型)によるものが子宮頸がん全体の50~70%を占めており、そのHPV感染を予防するワクチンが子宮頸がんワクチンです。子宮頸がんワクチンでのHPV感染予防と、20歳以降の定期的な子宮がん検診受診とで子宮頸がんはかなり予防でき、子宮摘出もかなり予防できます。

子宮頸がんワクチンは、2013年に定期接種となりましたが、その後副作用の可能性がマスコミで大々的に報道され『積極的勧奨の中止』となっています。当時、子宮頸がんワクチンの副作用で、歩けなくなった・計算ができない・痙攣するなどの症状を訴える、車いすの少女たちの、衝撃的な映像が、連日マスコミにより報道されました。しかしその後、厚生労働省の調査の結果、マスコミで報道されたような、多様な症状の原因が、子宮頸がんワクチンであるという、科学的証拠がなく、子宮頸がんワクチンとの関連は否定されています。子宮頸がんワクチンを打ってない人たちにも、同程度に、急に歩けなくなった等の様々な症状を訴える症例があることが、名古屋市の調査でも報告されています。

世界を見渡せば2007 年に世界で最初に、子宮頸がんワクチン公費助成プログラムを導入したオーストラリアをはじめ、先進国を中心に、接種費用を公費で助成する国は、70か国以上にのぼっています。WHO(世界保健機構)をはじめとする、世界の主要な国際機関や政府機関は、子宮頸がん予防ワクチンに関し提供されている、あらゆる安全性情報を検証した上で、引き続き接種を推奨しています。

実際に子宮頸がんワクチンを導入した国(オーストラリアやアメリカ、イギリス等)では、すでに子宮頸部の前がん病変の減少が認められていますし、フィンランド、デンマークからは、実際のがんの減少が、オーストラリアでは、接種を受けていない集団でのがんの減少(集団免疫)も確認されています。

ただ我が国では当初子宮頸がんワクチンの接種率は、70%以上でしたが、『積極的勧奨の中止』によりその存在すら認識されなくなり、現在は接種率1%未満となっています。そして子宮頸がんワクチンを受けなかった世代が子宮頸がんを発症する年代となり、われわれは、今後の子宮頸がんの増加に危機感を感じています。最近は自治体によっては、独自に定期接種であることを周知するなどの動きも出てきてはいます。

『積極的勧奨の中止』はまだ現存していますが、子宮頸がんワクチンは2013年4月1日以降ずっと定期接種ではあり、現在も定期接種として受けることができます。子宮頸がんワクチンは、性交渉を経験する前の10歳代前半に接種をすることが推奨されており、定期接種は小学6年生~高校1年生の間に3回接種するスケジュールで、標準的には中学生~高校1年生での接種です。初回接種後6か月後に3回目の接種になるので、遅くとも高校1年生の9月までに開始しないと定期接種での接種から外れてしまいます。定期接種を外れてしまうと任意接種(有料)となり、1回16000円x3回=48000円の費用がかかります。また、副反応が起きた際の対応も、定期接種法ではなく医薬品医療機器総合機構法対応となってしまいます。

最近、厚労省はこの『積極的勧奨の中止』の撤回の議論を始め、来年4月を目処に再開を決めました。しかし、今はまだ、『積極的勧奨の中止』のため市や区から問診票は送付されてこないと思いますので、対象の女児には、定期接種で受ける権利があることをお伝えしたいと思います。

こどものクリニック中山医院 院長

栄養士講座「カルシウムと骨について」

気温が下がり冬到来ですね。

成長期のこどもは、大人に比べて骨の成長が活発であることを知っていますか。骨量が増加するこの時期に、骨を丈夫にしておくことは、将来の骨粗しょう症予防にとても大切です。丈夫な骨を作るためにバランスの良い食事と運動は必要です。特に、カルシウムはしっかり摂りたい栄養素で、骨や歯を作るだけでなく、筋肉の収縮や神経を安定させる働きがあります。

カルシウムを効率よく摂取するには、ポイントがあります。

まず、カルシウムは牛乳やヨーグルトなどの乳製品、大豆製品、小魚、小松菜などの野菜類に多く含まれますが、吸収率に違いがあります。牛乳・乳製品は1番吸収率が良く、含有量も多めなので利用しやすいといえます。(吸収率は乳製品>大豆・小魚>野菜の順)

次にビタミンDを一緒に摂ること、腸での吸収を助けてくれる働きがあります。ビタミンDは日光を浴びることにより、体内で生成することができますが、魚(青魚や、鮭など)きのこ(乾燥しいたけ、まいたけなど)にも多く含まれますので、取り入れるようにしましょう。

もっと詳しく知りたいという方は、栄養相談をご利用くださいね。

メイプル薬局管理栄養士 佐野文美

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