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~ 院長講座 ~ 「 はしかは免疫を壊してしまう怖い病気 」
2025.07.28
小児科医を長くやっていると、予防接種の際に子供の成長を感じることがよくあります。
1回目のM Rワクチンを打ちにくる子を見ると「1歳になったんだなあ」と感じ、日本脳炎ワクチンを打ちにくる子を見ると「3歳になったんだなあ」と感じ、2種混合を打ちにくる子を見ると「もう中学生になるんだなあ」と感じます。
今日も、2回目のM Rワクチンを打ちに来た子を診察したときに「もうすぐ1年生だね」と、つい話しかけてしまいました。
今回は、そのM Rワクチンで予防するはしか(麻疹)についてのお話です。
最近また、日本でも各先進国でも増加傾向にあります。(これらの国は以前、麻疹の撲滅がW H Oが宣言していた国ばかりです。)
特にアメリカは深刻で、[反ワクチン運動]や[インフラの問題]によりワクチン接種率が低下して、死亡者も出ています。
このような怖い【はしか(麻疹)】ですが、最近他の意味で怖いことがわかってきました。
それは、免疫記憶の喪失です。
これは、麻疹ウイルスに感染することでそれまでに獲得した免疫記憶(獲得免疫)が失われてしまい、他の様々な感染症にかかりやすくなってしまうということです。
一般的に感染症に罹患すると、免疫系は病原体を撃退するための抗体を作ります。
感染症が治ると、その病原体のことを記憶している体内の特殊な免疫細胞は、同じウイルスや細菌が再び侵入してきたときに、体がより迅速に防御できるように働きます。
麻疹ウイルスに感染すると、これらの「記憶」細胞が消滅してしまうことがわかりました。
(研究論文がScience1とScience Immunology2で発表)
論文の研究内容は以下のとおりです。
・対象者:ワクチン未接種で麻疹を発症した77人(平均年齢9歳)
・麻疹が流行した前と後に採取したこれらの同じ児童の血液を比較
➡ 麻疹の治癒からおよそ2カ月後には、体内の他の細菌やウイルスに対する抗体の11〜73%が消えていることがわかった
↓
・対象:麻疹の予防接種を始めて受ける幼児33人
・ワクチン接種前と後の血液を採取して調べた
➡ 免疫は消失していなかった
また、マカク属サルを麻疹ウイルスに感染させて、他の病原体に対する抗体を5カ月にわたってモニターした実験では、サルたちは過去に遭遇した病原体に対する抗体の40〜60%を失っており、この実験では麻疹ウイルスがサルの骨髄の長期生存形質細胞(数十年にわたって病原体に対する抗体を産生する細胞)とその「記憶」細胞を破壊していたことを突き止めました。
このように麻疹は今でも治療法がなく、先進国でも1000人に1人がなくなる怖い病気です。
ワクチンで予防できるので、2回のワクチンを忘れないで受けていただきたいと思っています。ワクチンの接種率が96%を超えると、地域の麻疹もいなくなると言われています。麻疹の撲滅されていない地域の外国の方の訪日も多くなり、この接種率を維持させることの重要性も増していると感じています。
院長 中山豊明
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