子宮頸がん予防ワクチンについて
子宮頸がん予防ワクチンがこの4月から定期接種に加わりましたが、副反応の報告が多いことから、6月15日から「積極的勧奨の差し控え」になりました。この「積極的勧奨の差し控え」と言う言葉、何年か前にも聞いたことがあると思います。平成17年に日本脳炎の予防接種に対して行われたのを覚えている方もいると思います。「積極的勧奨の差し控え」とは、定期接種は続けますが、市町村、国から「予防接種をうってください。」と奨めることを言わないようにする。という意味です。
ですから、接種する人(保護者)が判断して接種するかしないかを決めてください。ということです。
でも何の知識もなく決めることはできませんので、少し情報提供をさせていただこうと思います。
現在、日本では子宮頸がんの患者数は急激に増加しております。10万人の人に11681人の人が子宮頸がんを発症しております。そして、10万人の人に3720人の人が子宮頸がんで亡くなっています。子宮頸がんの死亡者数は、1日に7人のペースで亡くなっていることになるそうです。どうして、子宮頸がんが急増しているのでしょうか。それは子宮頸がんの原因が侵襲性のヒトパピローマウイルスの感染で起こるためです。このウイルスは性交渉で感染しますので、性交渉の相手が複数に渡ると感染率が上がると言うことになり、これが患者数の増加につながっています。ゆえに性交渉を行う前にワクチンを打って、パピローマウイルスの感染を防ごうというのがこのワクチンの意図です。なおワクチンに含まれない種類のパピローマウイルスもあり、ワクチンの有効性は70%と言われています。
一方、今回問題となった副反応は、神経症状を主体とした報告が多く、現在、328万人に接種され、1900人に副反応がでたということです。ただこの1900人の内訳がはっきりしておりませんので、重いものから軽いものまで含まれております。現在、国はこの副反応報告の解析、評価を行っており、この結論がでる間は「積極的勧奨の差し控え」を行う様です。
ただ他のワクチンでもみられる重い副反応(ギランバレー症候群、急性散在性脳脊髄炎など)の発生頻度は430万人に一人の割合でこの割合は他のワクチンと変わらないようです。
詳しいデーター、資料は厚労省のHPにありますので、ご参照ください。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/