~栄養士講座~ 「カルシウムと骨のおはなし」
骨は、身体を支えたり、脳や内臓などを衝撃から守ったりする働きがあります。弱い骨では体を守ることが出来ないため、骨を強くすることが大切です。骨を丈夫にするためにカルシウムが必要ということは知っているかと思いますが、実際にカルシウムは摂取出来ているのでしょうか。
令和4年の調査で、7~14歳の子どもがとっているカルシウムは625mgでした。1日にとりたいカルシウムの量は、
10~11歳の男児700㎎、女児750㎎
12~14歳の男児1000㎎、女児800㎎
ですので、少し足りていないことが分かります。骨の強さを表す骨量は、10歳を過ぎるくらいから増え始め、20歳くらいで最も多くなり、50歳くらいから少しずつ減っていきます。強い骨にするためには、骨量を蓄えておくことがポイントです。中学~高校性は骨量が一番増える時期ですので、この時期にしっかりカルシウムをとりたいですね。カルシウムを多く含む食品は、
牛乳100gでカルシウム110㎎、
ヨーグルト80gでカルシウム96㎎、
納豆1パックでカルシウム45㎎、
小松菜80gでカルシウム136㎎、
たまご1個でカルシウム23㎎などです。
成長期だからこそ、積極的にとりたい栄養素のひとつです。もちろん、カルシウムだけではなく、たんぱく質やビタミンDなども骨に必要な栄養素ですので、色々な食品から摂取するようにしましょう。
メイプル薬局管理栄養士 佐野文美
~院長講座~ 「今年の小児のインフルエンザワクチンは経鼻が使えます」
今年9月末に、鼻の中に噴霧するタイプのインフルエンザワクチン(フルミスト)が発売になり、今年のインフルエンザワクチンの選択肢が増えます。
下記のメリットデメリットを踏まえて、今年のワクチンを選んでいただければと思います。
この経鼻のワクチンは2003年にアメリカで承認され、2011年にはヨーロッパでも承認されました。すでに外国では使われており、カナダ、イギリスなどでは小児における推奨ワクチンとされています。
日本では、2歳から19歳未満の方が接種できます。(海外では49歳まで可能)
このワクチンは、インフルエンザウイルスが体に侵入する入り口である鼻の粘膜に直接生ワクチンを噴霧することで抗体を作ります。
なお注射のワクチン同様A型B型両方のインフルエンザに効果があります。
また、富士市のこどもインフルエンザワクチン助成の対象です。
<メリット>
1)痛い注射をしなくても良い
2)乳幼児で有効と言われている
3)接種回数が小学生以下でも1回でよい
4)鼻粘膜の表面に免疫を作るので高い感染防御効果を期待できる
5)効果の持続が注射によるワクチンより長い
<デメリット>
1)接種対象年齢が限られる(2歳~19歳未満:19歳の誕生日が来ると接種できません)
2)接種後約50%の方に軽いカゼ様症状(鼻水・咳など)が、約10%の方に発熱がある
3)接種できない方がいる(下記を参照)
4)注射のワクチンより値段が高い。
5)供給量が少なく、すべての希望者に接種できない可能性がある
6)接種時に鼻水が多いと効果が薄れる可能性がある
接種できない方:1)ゼラチンアレルギーの方、2)妊婦さん、授乳婦さん3)アスピリンを内服中の方、
4)免疫を抑制する薬(内服のステロイド、サンディミュン、ネオーラル、イムランなど)を内服、注射している方
※接種価格
- 富士市在住の2歳~高校3年生相当年齢/7,500円 ●一般/8,500円
中山医院 院長 中山豊明
栄養士講座 「栄養バランスのとれた食生活を送るために」
食生活と健康は深く関係しています。
朝ごはんを食べないと、1回の食事の量が増えて食べすぎてしまうことがあり、肥満や生活習慣病の発症につながることがあります。
規則正しい食生活をするために、次のことを実践してみましょう。
① 朝ごはんを食べる :朝は忙しくて食事の支度をするのが大変、食べる時間がない、朝ごはんよりも寝ていたい、朝ごはんを抜いても大丈夫と思っている人がいるかもしれません。しかし、朝ごはんは1日のエネルギー源になる大切な食事です。寝ている間に低下した体温を、朝ごはんを食べることで上げることが出来る、体内時計のスイッチを入れることが出来るといわれています。
② 食事の栄養バランスを考える :食事を作ったり、選んだりするときに、主食(穀類)、主菜(たんぱく質)、副菜(主に野菜料理)を組み合わせましょう。特に最近では、主食の摂取量が少ない傾向にあります。例えば、1食分のご飯の量8~9歳なら男児150g、女児130gは必要です。減らし過ぎるとエネルギー量が足りなくなることがありますので、何を、どのくらいの量、どんな組み合わせで食べるのかを考えましょう。
組み合わせの参考には、食事バランスガイドなどのツールを使ってみてくださいね。
メイプル薬局管理栄養士 佐野文美
~院長講座~ 「多剤耐性菌の脅威」
多剤耐性菌をご存知でしょうか。
80年前にペニシリンが広く使われるようになった直後から、細菌は、抗生物質(抗菌薬)をかわす方法を見つけ始めました。それ以来、細菌は、抗生物質が効かない耐性を身につけ、このような細菌を薬剤耐性菌と呼びます。そして、あらゆる抗生物質の効かなくなった細菌を、多剤耐性菌と呼びます。薬剤耐性菌のパンデミック(世界的大流行)は、非常にゆっくりと進行してきたため、あまり注目を浴びてきませんでした。しかし、現在の耐性菌の増加傾向と、この多剤耐性菌により、世界では毎年推定約500万人が死亡しています。日本では、この多剤耐性菌で年間約8000人が死亡しています。
では、このような状況がどうして起こったのでしょうか。
様々な抗生剤をたくさん使用した結果、この様々な抗生剤に対して、抵抗力を持った多剤耐性菌ができたのです。ちなみに風邪(上気道炎)の原因の病原体の96%は、ウイルスと呼ばれるもので、細菌ではありません。このウイルスに抗生物質は効きません。96%抗生物質が効かない風邪に、抗生物質を乱用してしまった結果、多剤耐性菌が生まれたと考えられています。
現在、ほとんどの医療現場では抗生剤の適正使用の見直しが行われるようになりました。未来のある子供たちが大人になった時に、この耐性菌が増えてないように、
中山医院 院長 中山豊明
栄養士講座 「熱中症に注意しましょう」
暑い時期が続いていますので、日々熱中症の予防をする必要があります。
そんな時に確認したいのが 「熱中症警戒アラート」 「暑さ指数」です。熱中症警戒アラートは、熱中症の危険性に対する気づきを促すものとして、暑さ指数が33(予測値)に達する場合に発表されます。暑さ指数(WBGT(湿球黒球温度))は、熱中症を予防することを目的とした指数で、人の熱バランスに影響の大きい気温、湿度、輻射熱の3つを取り入れた温度の指標です。暑さ指数が28を超える時には熱中症にかかりやすくなり、特に蒸し暑い日は特に注意が必要です。湿度が高い場所では、汗が蒸発しにくくなるので、身体から空気中へ熱を放出する能力が減少して熱中症になりやすくなります。暑さ指数が高い時、熱中症警戒アラートが出た時には、予防をすることが大切です。涼しい服装をする、外にいる時には日陰を利用する、帽子や日傘を使う、水分・塩分補給をする、適切にエアコンを使用することです。暑さを避けることも大切ですので、外出を出来るだけ控え、外での運動は原則中止か延期にすると良いでしょう。暑さに負けない身体づくりも重要ですので、3食しっかり食事を摂って、必要な栄養素を補給してくださいね。
メイプル薬局管理栄養士 佐野文美