栄養士講座 「栄養バランスのとれた食生活を送るために」
食生活と健康は深く関係しています。
朝ごはんを食べないと、1回の食事の量が増えて食べすぎてしまうことがあり、肥満や生活習慣病の発症につながることがあります。
規則正しい食生活をするために、次のことを実践してみましょう。
① 朝ごはんを食べる :朝は忙しくて食事の支度をするのが大変、食べる時間がない、朝ごはんよりも寝ていたい、朝ごはんを抜いても大丈夫と思っている人がいるかもしれません。しかし、朝ごはんは1日のエネルギー源になる大切な食事です。寝ている間に低下した体温を、朝ごはんを食べることで上げることが出来る、体内時計のスイッチを入れることが出来るといわれています。
② 食事の栄養バランスを考える :食事を作ったり、選んだりするときに、主食(穀類)、主菜(たんぱく質)、副菜(主に野菜料理)を組み合わせましょう。特に最近では、主食の摂取量が少ない傾向にあります。例えば、1食分のご飯の量8~9歳なら男児150g、女児130gは必要です。減らし過ぎるとエネルギー量が足りなくなることがありますので、何を、どのくらいの量、どんな組み合わせで食べるのかを考えましょう。
組み合わせの参考には、食事バランスガイドなどのツールを使ってみてくださいね。
メイプル薬局管理栄養士 佐野文美
~院長講座~ 「多剤耐性菌の脅威」
多剤耐性菌をご存知でしょうか。
80年前にペニシリンが広く使われるようになった直後から、細菌は、抗生物質(抗菌薬)をかわす方法を見つけ始めました。それ以来、細菌は、抗生物質が効かない耐性を身につけ、このような細菌を薬剤耐性菌と呼びます。そして、あらゆる抗生物質の効かなくなった細菌を、多剤耐性菌と呼びます。薬剤耐性菌のパンデミック(世界的大流行)は、非常にゆっくりと進行してきたため、あまり注目を浴びてきませんでした。しかし、現在の耐性菌の増加傾向と、この多剤耐性菌により、世界では毎年推定約500万人が死亡しています。日本では、この多剤耐性菌で年間約8000人が死亡しています。
では、このような状況がどうして起こったのでしょうか。
様々な抗生剤をたくさん使用した結果、この様々な抗生剤に対して、抵抗力を持った多剤耐性菌ができたのです。ちなみに風邪(上気道炎)の原因の病原体の96%は、ウイルスと呼ばれるもので、細菌ではありません。このウイルスに抗生物質は効きません。96%抗生物質が効かない風邪に、抗生物質を乱用してしまった結果、多剤耐性菌が生まれたと考えられています。
現在、ほとんどの医療現場では抗生剤の適正使用の見直しが行われるようになりました。未来のある子供たちが大人になった時に、この耐性菌が増えてないように、
中山医院 院長 中山豊明
栄養士講座 「熱中症に注意しましょう」
暑い時期が続いていますので、日々熱中症の予防をする必要があります。
そんな時に確認したいのが 「熱中症警戒アラート」 「暑さ指数」です。熱中症警戒アラートは、熱中症の危険性に対する気づきを促すものとして、暑さ指数が33(予測値)に達する場合に発表されます。暑さ指数(WBGT(湿球黒球温度))は、熱中症を予防することを目的とした指数で、人の熱バランスに影響の大きい気温、湿度、輻射熱の3つを取り入れた温度の指標です。暑さ指数が28を超える時には熱中症にかかりやすくなり、特に蒸し暑い日は特に注意が必要です。湿度が高い場所では、汗が蒸発しにくくなるので、身体から空気中へ熱を放出する能力が減少して熱中症になりやすくなります。暑さ指数が高い時、熱中症警戒アラートが出た時には、予防をすることが大切です。涼しい服装をする、外にいる時には日陰を利用する、帽子や日傘を使う、水分・塩分補給をする、適切にエアコンを使用することです。暑さを避けることも大切ですので、外出を出来るだけ控え、外での運動は原則中止か延期にすると良いでしょう。暑さに負けない身体づくりも重要ですので、3食しっかり食事を摂って、必要な栄養素を補給してくださいね。
メイプル薬局管理栄養士 佐野文美
~ 中山通信 ~ 「 こどもの薬の飲ませ方 」
小児科医をやっていてよくきかれる質問の一つにこどもが薬を飲んでくれないというのがあります。そう考えてみると、薬を上手に飲んでくれるこどもの方が少ない印象があります。私自身、自分の子供が小さい時に薬を飲ませるのに苦労しました。
「苦い」「においがある」「舌触りが悪い」「量が多い」などの理由から薬を嫌っていたように感じました。ですから、子供の好みや成長に応じた工夫が大切だと思います。私の経験談も踏まえてお話しします。
「なぜ薬を飲まなくてはならないの?」という疑問から薬を飲まなくなることもあるので、言い聞かせてわかる年齢のお子さんには、薬を飲む理由をわかるように説明してあげることも大切です。また、なんとか飲ませようとすると、逆にその切羽詰まった空気を感じ取って、お子さんが緊張してしまいます。そこで、薬は「病気を治すために必要なもの」として、子どもが「つらいもの」という印象を持たないよう、楽しい雰囲気で飲ませましょう。「治そうね」「元気になろうね」などと声をかけることも効果的です。服用できたら十分に誉め、自信を持たせるようにしましょう。
いくつもお薬を飲ませる時には、出来るだけ別々に飲ませた方が、味がおかしくなりにくいです。なにか食べてからでないと薬を飲ませてはいけないと、信じている方もおられると思いますが、小児科で普通に処方される薬は、胃を荒らしたり、食事によって効果に差が出たりすることはありません。特別に医師の指示がないかぎり、食前でも大丈夫です。おなかのすいている食前の方がスムーズに飲んでくれたり、吐いてしまったりすることは少ないです。それでも、飲めない場合もあります。薬は、そのまま白湯や水に溶かしたりして服用することが理想ですが、何かに混ぜて飲ませることも一つの方法です。一般的に、練乳・水飴などに混ぜて服薬させます。特にチョコレート・ココアと混ぜると薬の味や苦味がわかりにくくなります。(チョコレートはチョコレート風味ではなく、実際のカカオを使用したものでないと上手くいかないと思います。)また、氷やアイスクリームは、舌を冷やし、一時的に味を感じにくくします。服用直後には湯冷ましやお茶を飲ませ、口内に薬が残らない状態にしましょう。
国立生育医療センターの薬剤師さんが、具体的な薬の種類と推奨する混ぜるもの、混ぜてはいけないものを情報提供しています。参考にしてください。
https://www.ncchd.go.jp/hospital/about/section/medicine/210330.html
とはいえ、もう十分に色々混ぜて与えてみたけれど、どれもダメだったという方もいると思います。私もそうでした。でも、意外と試していないものもあると思います。実際にそのようなお母さんとお話しすると、試していないものは多くありました。味噌汁、カレーなどがその一例です。
薬だけではなく、こどもは色々なことで上手くいきませんが、根気強く続けていくことが大切だと考えています。
中山医院 院長 中山豊明
~栄養士講座~「ビタミンとミネラルの摂取について」
野菜を食べることは、私たちが健康に元気に生活を送るために大切なことで、それはおもにビタミン、ミネラル、食物繊維の摂取源になるからです。ビタミンやミネラルは、肉や魚に含まれるたんぱく質や、米や穀類に含まれる炭水化物など、体をつくる、エネルギーになる栄養素がうまく働くように補助する役割があります。ビタミンC、カリウム、食物繊維は野菜から摂取する割合が多いと言われていますので、野菜不足だと影響が出やすくなります。
大人で1日350g以上の野菜の摂取が推奨されていますが、実際の摂取量は280g前後で約70g足りていないとの報告があります。特に、20~40代の若者や中年層に不足しており、これは朝食の欠食や外食の回数が増えたことによると考えられています。 70gの野菜がどのくらいかというと、トマト1/2個または玉ねぎ1/4個くらいです。こどもの頃から野菜を食べる習慣を持って、不足しないようにしたいですね。
とはいえ、苦手であまり食べられないこどももいます。切り方や調理方法によって、独特な食感やにおいが和らぐこともあります。例えば、生野菜ではなく短時間加熱をしてみたり、下茹でをしてから炒めてみたりすると食べやすくなることがあります。
工夫をしながら毎日の食事に取り入れましょう。
メイプル薬局管理栄養士 佐野文美