~栄養士講座~ 「身体活動量を増やそう」
健康づくりには運動することが欠かせないことは知られていますが、日本におけるガイドラインが2023年に更新されました。健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023といいます。身体を動かす時間が少ないこどもには、何らかの身体活動を少しでも行うことが推奨されています。
身体活動は、体力(全身持久力や筋力)、心血管代謝機能、骨の健康、認知機能、メンタルヘルスを向上させることと共に肥満を改善する効果があります。
また、座りっぱなしの時間を短くすることが大事とされています。座りすぎは肥満の増加、体力の低下、社会的な行動への不適応、睡眠時間の減少と関係しています。 スクリーンタイム(ゲームやスマホへの使用、テレビなどスクリーンの前で過ごす時間)が長いほど、好ましくないメンタルヘルス、睡眠時間への悪影響を及ぼすことが分かっています。学習以外でスマホ・タブレットなどの画面を見る時間が1日2時間以上の者の割合は、令和4年の調査で小学5年の男子で62%、女子で54%、中学2年の男子で73%、女子で70%でした。余暇のスクリーンタイムが長くならないように、時間を決めて使用することが大切です。
外遊びの時間を作って運動の機械を増やすとよいですね。
メイプル薬局管理栄養士 佐野文美
~栄養士講座~ 「腸内環境を整えましょう」
ヒトの腸は、食べ物を消化し、栄養素の吸収を行っています。
他にも、水分を吸収して便を作り、体外に排出する役目があります。
また、腸には体内の半分以上の免疫細胞が集まっており、食べ物と一緒に運ばれてくる細菌やウイルスなどの異物や害を及ぼす外敵から体を守る役割もあります。
感染症予防対策や、自分が持っている免疫機能を最大限発揮するためには、バランスの良い食事を規則正しい食習慣でとることが最も重要です。
そしてバランスの良い食事をとりながら、心がけておきたいのが腸内環境を整えることです。
ヒトの腸管、主に大腸には約1000種類、100兆個の腸内細菌(腸内フローラとも呼ばれます)が生息していることが知られています。
体の健康を保つためには、腸内にビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌と呼ばれている菌が占める割合を増やすことが大切です。さらに、善玉菌を増やす水溶性食物繊維やオリゴ糖を十分に摂って、腸内細菌と健康を作ることも大切です。
最近では腸活という言葉もありますね。
善玉菌が多い食品は、ヨーグルト、乳酸菌飲料、納豆、漬物などです。
とはいえ、これらの食品だけを摂ればいいのではなく、バランスの良い食事を摂ることを基本にし、食生活のプラス要素として考えると良いですね。
メイプル薬局管理栄養士 佐野文美
~院長講座~「熱性けいれんの対処法」
Q 熱性けいれんの対処法について教えてください
熱性けいれんは非常にポピュラーで、6ヶ月から6歳の13~30人に1人 の割合で見られます。
乳幼児の脳の細胞は未発達で、わずかな刺激で脳の細胞が過剰興奮して、それを抑制する働きも未発達なために起こると考えられています。
お子さんがけいれんした時は慌ててしまいますが、落ち着いてよく観察をします。
舌を噛むことを恐れて、無理に口を開け指を突っ込むことは、絶対にしてはいけません。これは舌を押し込んで気道を塞ぎ、窒息する恐れがあるためです。
● 衣服を緩めて平らなとこに寝かせ、吐いたものが詰まらない様に顔は横向きに
● 落ち着いてけいれんの時間を計りましょう
● 体の突っ張り方やふるえ方が左右対称かどうかをチェックしましょう
熱性けいれんであれば、何も特別なことをしたり薬を使ったりしなくても、数分以内に自然に止まります。 脳に障害をおこすこともありませんし、命に関わるようなことはありません。
● 10分以上けいれんが続く時
● 意識が戻らない時
→救急受診が必要です。
また、けいれんがおさまり、意識が戻っていても、熱を伴うけいれんは鑑別疾患に髄膜炎など緊急の病気も含まれるので、早めの受診をしてください。
中山医院 院長 中山豊明
~栄養士講座~ 「野菜を食べよう」
野菜にはそれぞれ様々な栄養素が含まれています。多種類の野菜の多様な成分が相互に作用しあって、体内で多くの大切な働きをしています。野菜の働きは
●食べすぎを防ぐ…満腹感を得られやすいです
●腸内環境改善…食物繊維が腸内の善玉菌を増やし、腸内環境を整えたり便秘を防いだりします
●ストレスに対抗する…野菜のカロテン、ビタミンC、ビタミンEは抗酸化作用が強く、活性酸素を除去します
●血中脂質などの改善…水溶性食物繊維には血糖上昇抑制、コレステロール値や中性脂肪値を低下させる働きがあります
●血圧上昇抑制…野菜に豊富に含まれるカリウムは余分なナトリウムを体外に出して血圧上昇を抑制する効果があります
私たちの体調は、季節の変化に強く影響を受けており、冬には体が冷えて血液
循環が滞ったり、乾燥して空咳が出たり、皮膚がカサカサしたりします。
季節の野菜には、それらの症状を緩和する力を持つものが少なくありません。
冬の日本の旬の野菜は、白菜、かぶ、ほうれん草、ブロッコリー、長ネギなどがあります。毎日手軽に食べる習慣が出来ると良いですね。茹でたりスープに入れたりして、取り入れてみてください。
メイプル薬局管理栄養士 佐野文美
~栄養士講座~ 「味覚について」
毎日の食生活の中で、こどもに対して好き嫌いなく何でも食べてほしいと願うのはどの保護者も同じです。しかし、実際にはこどもの好き嫌い・偏食についての
悩みがあって、特に野菜嫌いの子が多いのはどうしてでしょうか。
ヒトの舌には味覚センサーの働きを持つ味蕾という細胞があります。この味蕾の数は、大人に比べて小さなこどもに多く、味に敏感であるといわれています。
私たちが感じる味覚には、味の基本五味というものがあります。
「甘味」「塩味」「旨味」「酸味」「苦味」の5つです。
このうち甘味、塩味、旨味は私たちが生きていくために必要な栄養素である糖質、ミネラル、たんぱく質(脂質の一部も旨味として感じます)を感じるシグナルで、本能的に必要なものとして好むと考えられます。
一方、酸味と苦味はどうかというと、酸味は腐敗した味、苦味は毒の味として認識し、口の中に入れてはいけない有害なもののシグナルとして受け取ります。
酸味や苦味の強い野菜は本能的に避けてしまうのです。
しかし、食経験を積むこと、例えば周りの大人がおいしいと食べている所を見ることや、頑張って食べることで褒められた経験で食行動に変化が出てきます。
食への興味を持ってもらうことも大切ですね。
メイプル薬局管理栄養士 佐野文美