~ 中山通信 ~ ヒトメタニューモウイルス(hMPV)
年末年始のインフルエンザの猛威が1月後半から急に落ち着きましたが、発熱でクリニックを受診されるお子さんはまだ多い印象です。インフルエンザの陽性者が減っているという事は、それ以外の感染症での発熱という事になります。
そのうちの一つ、昨年末からアジア各地で流行と報じられている【ヒトメタニューモウイルス】についてお話ししたいと思います。
このウイルスは気管支炎などの呼吸器感染症をひきおこすウイルスの一種で、大人にも感染することはありますが、1~3歳の幼児の間で流行することが多いです。小児の呼吸器感染症の5~10%、高齢者の呼吸器感染症の2~4%は、
このウイルスが原因だと考えられています。2歳までに約30%、5歳までに約75%、10歳までには、ほぼ100%が一度は感染するといわれます。潜伏期間は4〜5日です。
鼻水や咳(せき)とともに38.5℃以上の高熱が出る場合が多いです。嘔吐や下痢も7〜8%近くのひとにみられ、最初は急性胃腸炎と診断されることもあります。 また発熱が平均して4~5日続くため、 インフルエンザと間違われることも少なくありません。
喘鳴(ぜーぜー)する症状も60%近くの方にみられます。このように経過は通常の風邪よりは長い傾向にありますが、1週間程度で徐々に症状は治まってきます。しかし、1回の感染では充分な免疫が獲得できないことがわかっており、
何度か繰り返して感染→年齢が上がるにつれて徐々に免疫がつく→症状が軽くなる という経過をたどります。インフルエンザや新型コロナのように抗原キットで診断できますが、特に特効薬もなく、治療は年齢と症状に応じた対症療法となります。またインフルエンザや新型コロナウイルス感染症のように学校安全保健法の出席停止に当てはまる疾患ではないため、早期に診断する必要はないと考えられます。
参考文献
Ebihara T et al. J Clin Microbiol 2004
中山医院 院長 中山豊明