~院長講座~ 「HPVワクチン接種の救済措置:1年間の延長が決まりました!」
現在、子宮頸がんの予防につながるワクチン接種が、諸外国に遅れながら日本でも行われ、接種者は増えています。子宮頸がんは、「マザーキラー」と称され、ちょうど母親になる年代に好発します。また、妊娠の検診を契機に見つかることも多く、ほとんどが見つかった時点で子宮の全摘出術が必要で、助かるためにお母さんになることを諦めなければならないという非情な病気でもあります。そんな大切なワクチンですが、副作用の懸念から世界の中で日本だけ、2013年から約9年間、接種自体がほぼ止まった状態になってしまっていました。そんな騒動によって接種機会を逃した世代(誕生日が1997年4月2日~2008年4月1日)の女性に対する、主に子宮頸がんの予防を目的としたHPVワクチンを、無料で接種できる救済措置が、今年度末までを期限として実施されています。しかし、接種希望者が急増し、ワクチンの需要に供給が追い付かなくなる事態も発生するなどしたこともあって、この救済措置の1年間の延長が決まりました。
ただし、2025年3月末までに最低1回の接種を受けていることが条件です。
次の3月までに1回目の接種を行わないと、この救済措置は受けられません。
2006年に、このワクチンが登場し、20年近い経過の中で、諸外国では、すでに接種した世代における子宮頚がんの発症率の低減という形で、その効果が示されてきています。また、諸外国では、それだけ接種が行われていますが、懸念される副作用の方は、話題になることもありません。
3回の接種で約10万円が補助される制度です。救済措置の対象となっている世代の女性で、まだHPVワクチンを接種していない方々には、いろいろなお考えや状況があるものと思います。が、是非とも今一度、子宮頸がんと、それを予防するためのHPVワクチンについて、少しだけ立ち止まって考えてみていただきたいと思います。
中山医院 院長 中山豊明