インフルエンザの薬、どれがいい?
先日、インフルエンザに関する講演会に行ってきました。そこで、興味深い報告が紹介されていました。
インフルエンザの薬、どれが一番解熱までの時間が短いかです。(昨年の研究結果)
現在、インフルエンザの薬には、タミフル(飲み薬)、リレンザ(吸入)、イナビル(吸入)、ラピアクタ(点滴)の4種類がありますが、こどもに使うにはこれらの薬の投与法が問題になります。
注射薬は15分以上掛けて点滴をしなければいけないので、外来で小さな子に点滴するのは、現実的ではありません。
吸入薬はしっかり肺の中までを吸い込まなければいけませんから、通常は上手に吸入出来る年齢である6~7歳以上に使用します。2吸入を一日2回、5日間吸入するリレンザと2吸入1回だけで済んでしまうイナビルがありますが、小児では咳込んで上手く吸入出来ないこともあるので、イナビルは難しい面があります。
10代は、異常行動の問題があったので、原則タミフル処方は制限されていますので(種々の調査、研究から、飛び降りなどの異常行動はタミフルのせいではなく、インフルエンザの神経症状だと考えられていますが・・・)吸入剤を処方することになります。
本題に戻りますが、昨シーズンはA型(香港型)とB型が流行し、いわゆる新型の報告はありませんでした。
A香港型に関しては、解熱までの時間はどの薬とも30時間前後で、薬剤間の効果の差はありませんでした。
B型では、タミフルとイナビルが約38時間であるのに対して、リレンザは32時間弱と、若干解熱までの時間が短い傾向が見られました。
因みに、ラピアクタ(点滴)は使用症例数が少なすぎて、解析の対象から外されていました。
今年もインフルエンザのシーズンが近づいておりますが、これらを参考にしながら、処方していこうと思っています。
Vapor Rub
あまがえる
インフルエンザワクチンの重要性について
10月から今年もインフルエンザワクチンの接種が開始されます。
9月10日に米国小児科学会(AAP)からインフルエンザのワクチン接種の指針の更新が発表されました。
9月10日発行のPediatrics誌10月号に「Recommendations for Prevention and Control of Influenza in Children, 2012–2013」と題して改訂指針が掲載されておりました。
① この指針では、特に生後6カ月以上の小児と成人の全員へのワクチン接種を推奨しています。
② 今回の指針では、特に慢性疾患のある小児へのワクチン接種を重要だと説明しており、その理由としてインフルエンザ感染に伴う合併症のリスクが高まると理由を挙げています。
③ 慢性疾患の例としては、喘息、糖尿病、免疫不全、神経疾患に注意が必要と解説しています。
④ さらに、5歳以下の小児のそばにいる成人、医療従事者、妊婦や妊娠を考えている女性、母乳育児をしている女性もインフルエンザに罹患しやすいので接種を行うよう努力すべきとしています。
2009年の新型インフルエンザの流行の時に、新型インフルエンザワクチンが接種されましたが、その際の優先順位の高い人とほぼ同じなのがわかります。
もう5年前のことは忘れがちになりますが、自分、家族、お子さんが喘息などのリスクの高いグループに入るかどうかを思い出していただき、是非ワクチン接種の重要性をおもいだしてください。