~栄養士講座~ 「ちょうどよいバランスの食生活を考えてみましょう」
4月は新しい環境になるという人が多くなります。仕事や学校、習い事などやりたいこともやらなくてはいけないこともたくさんありますよね。
健康な体と心を保つために、食生活の見直しをお勧めします。食事バランスについては、次のことに注意してみてください。
①三大栄養素のバランスが大事!
1日に必要なエネルギー量(カロリー)であれば、どんな食べ方でもOKと思っていませんか。
ヒトが生きていく上で必要な栄養素はたんぱく質、脂質、炭水化物ですので、偏らないことが大切です。
炭水化物の摂りすぎになりやすいのは主食の重ね食べです。おにぎりとカップめんなど、おかずが少なくなるとたんぱく質が不足しがちになります。
脂質の摂りすぎになりやすいのはカルボナーラとケーキなど、油脂(バター)や生クリームの重ね食べに注意が必要です。ざっくりと「主食」「主菜」「副菜」がそろっているか確認すると良いですね。
②1日2食だと必要な栄養素を摂るのは難しい!欠食しないこと!
特にカルシウムと食物繊維はもともと摂取量が少なめですので、より少なくなってしまいます。
③栄養バランスだけでなく生活リズムや家計などのバランスも考えて
特に野菜不足は気になるけれど高価でためらってしまう場合には、冷凍野菜を上手に使うと良いです。収穫後すぐに急速冷凍されたものなので栄養素に違いはほとんどありません。
ご家庭でのちょうど良いバランスについて考えてみてください。
メイプル薬局管理栄養士 佐野文美
~栄養士講座~ 「お米の栄養」
私たち日本人の食生活は選択肢が増えて多様化しています。
近年では健康のためにお米を食べないという人もいるようですが、本当に良いのでしょうか。
お米の栄養成分の7割以上は炭水化物で、生きていくためのエネルギー源となります。炭水化物と糖質は同じものと思われがちですが、実は炭水化物とは「糖質」と「食物繊維」を合わせたものを指します。そしてお米には脂質が少ない特徴があり、たんぱく質も含まれています。エネルギー源となる炭水化物と体をつくるたんぱく質の両方が摂れる、理にかなった食品と言えますね。
お米の1人あたりの消費量は少なくなっています。お米は太ると思って食べないようにしているという方もいるでしょう。しかし人が太ったり痩せたりするのはエネルギーの摂取と消費のバランスが取れていないことで起こるものであり、糖質だから太るということではありません。
どのような食事でも、摂取エネルギーが消費量よりも多ければ脂肪として体に蓄積されやすくなります。バランスが大切なのであり、お米を食べると太るという訳ではないのです。
お米は腹持ちが良く、脂質が少ないこと、糖質だけでなく食物繊維も含まれる点から体脂肪になりにくいとされています。必要な量は年齢や性別、活動量によって異なりますが、毎食茶碗1膳分くらいは食べるようにしたいですね。
メイプル薬局管理栄養士 佐野文美
~ 中山通信 ~ ヒトメタニューモウイルス(hMPV)
年末年始のインフルエンザの猛威が1月後半から急に落ち着きましたが、発熱でクリニックを受診されるお子さんはまだ多い印象です。インフルエンザの陽性者が減っているという事は、それ以外の感染症での発熱という事になります。
そのうちの一つ、昨年末からアジア各地で流行と報じられている【ヒトメタニューモウイルス】についてお話ししたいと思います。
このウイルスは気管支炎などの呼吸器感染症をひきおこすウイルスの一種で、大人にも感染することはありますが、1~3歳の幼児の間で流行することが多いです。小児の呼吸器感染症の5~10%、高齢者の呼吸器感染症の2~4%は、
このウイルスが原因だと考えられています。2歳までに約30%、5歳までに約75%、10歳までには、ほぼ100%が一度は感染するといわれます。潜伏期間は4〜5日です。
鼻水や咳(せき)とともに38.5℃以上の高熱が出る場合が多いです。嘔吐や下痢も7〜8%近くのひとにみられ、最初は急性胃腸炎と診断されることもあります。 また発熱が平均して4~5日続くため、 インフルエンザと間違われることも少なくありません。
喘鳴(ぜーぜー)する症状も60%近くの方にみられます。このように経過は通常の風邪よりは長い傾向にありますが、1週間程度で徐々に症状は治まってきます。しかし、1回の感染では充分な免疫が獲得できないことがわかっており、
何度か繰り返して感染→年齢が上がるにつれて徐々に免疫がつく→症状が軽くなる という経過をたどります。インフルエンザや新型コロナのように抗原キットで診断できますが、特に特効薬もなく、治療は年齢と症状に応じた対症療法となります。またインフルエンザや新型コロナウイルス感染症のように学校安全保健法の出席停止に当てはまる疾患ではないため、早期に診断する必要はないと考えられます。
参考文献
Ebihara T et al. J Clin Microbiol 2004
中山医院 院長 中山豊明
~栄養士講座~ 「 食品ロスを少なくしよう 」
食品ロスとは、本来食べられるのに捨てられてしまう食品のことをいいます。日本では、年間に国民一人当たり約38㎏の食品ロスがあるといわれています。1日当たりにすると、おにぎり1個分くらい。食品廃棄物のうち、食品ロス( 可食部分と考えられる量 )は、食品関連会社による事業系食品ロス( 規格外品や売れ残りなど )、家庭系食品ロス( 食べ残しや直接廃棄 )があり、どちらの量も同じくらいとされています。
家庭からの食品ロスは、一般廃棄物として扱われ、ごみの処理には年間約2兆円もの経費がかかっています。
食品ロスを少なくすることで、ごみ処理の経費削減に繋がります。私たちが家庭で出来ることは何でしょうか。
食品ロスを減らすコツは「3つのない」です。
買い過ぎない! 家にある食品を考えて、必要な分だけ買うこと。
作りすぎない! 体調や家族の予定などを考えて作りすぎないようにしましょう。
食べ残さない! 作った料理、買ってきたものは早めにおいしく食べきりましょう。
家庭で捨てられやすい食品は、主食(ご飯、パン、めん)と野菜が多く、理由としては食べきれなかった、傷ませてしまった、賞味期限・消費期限が切れていたことが理由のようです。
もったいないを意識して、今日から食品ロス削減に取り組んでみてはいかがですか。
メイプル薬局管理栄養士 佐野文美
栄養士講座 「きちんとした手洗いが出来ていますか」
寒い季節は水が冷たくなり、指先だけを洗うなどしがちで、手洗いがおろそかになりやすいです。食中毒や風邪、インフルエンザの予防のためにも、冬場の手洗いもしっかり行いたいですね。
基本の手洗いは、水でぬらした手に石けんやハンドソープをよく泡立てて洗い始めます。
①てのひらを合わせて、すりすりこすり洗いから。まずは一番広いてのひらから洗います。
②手の甲の上に手を重ねて、カメさんのポーズ。手の甲を洗います。
③指と指を挟んでお山をつくって、指の間を洗いましょう。
④オオカミのように、爪をたててごしごし洗いましょう。爪の間の隠れたばい菌を追い出します。
⑤バイクの運転みたいに、親指をぎゅぎゅっとこすり洗い。
⑥忘れやすい手首を握ってぐりぐり洗います。そのあと流水でしっかり洗い流します。手首の泡も忘れずに洗い流しましょう。仕上げに清潔なタオルやペーパータオルなどで拭いておしまいです。
子どもたちの手は、日常生活の中であらゆるものに接触しています。ほこり、土、汗、細菌などがついていて、手を洗わずにいると知らず知らずのうちに、口の中に入ってしまいます。大人に比べて、抵抗力が弱く感染症や食中毒にかかりやすいため、それを防ぐためにもきちんとした手洗いを身に付けると安心ですね。
メイプル薬局管理栄養士 佐野文美