ポリオワクチンは追加接種が必要です。
ポリオはポリオウイルスの感染によって四肢に麻痺を起こす病気です。我が国ではワクチンの高い接種率のおかげで自然感染による患者発症はなくなりました。しかし、他の一部の国では今でもポリオの流行があり、いつ国内に入ってくるかわかりません。また、それらの国に出かけるときに抗体がないと感染する危険があります。そのため国内の自然感染のない今でもポリオワクチンによる予防は欠かせません。
現在、四種混合ワクチンとして行われており、小さい時の予防は十分ですが、接種から時間が経つと感染を予防する力が低下してきますので、就学前からの追加接種として単独のポリオワクチンの接種が本当は必要です。アメリカ、カナダ、ドイツ、イギリス、フランスなどの先進国の国々ではこの就学前からの追加接種は定期接種(公費負担)として何年も前から行われていますが、残念なことに予防接種行政の遅れている日本ではまだ行われておりません。この4月からは、ポリオワクチンを不活化ワクチンとして接種された子供達がこの就学前になる年です。対象となるお子さんは自費接種となりますが、ポリオワクチンの追加接種をおすすめいたします。
今年のインフルエンザの流行は長期化するかもしれない:A香港型も増加
厚生労働省は9日、全国の医療機関から報告されたインフルエンザの患者数が、1施設当たり54・33人と3週連続で最多を更新したと発表しました。インフルエンザウイルスの流行株はA型が2種類、B型が2種類で、通常1シーズンにA型もB型も1種類ずつ流行します。今シーズンの流行株は、A型が2009年パンデミック型、B型がビクトリア山形株でした。しかし現在、検出されているウイルスはB型が最も多く、続いてA香港型が、2009年パンデミック型を追い抜きました。。3種類が同時に流行するのは、今まで経験したことがありません。今シーズンは、B型主流の流行で始まり、2009年パンデミック型のA型が増加し、今、A香港型が増加しています。1シーズン3回、インフルエンザに罹患する可能性もありますので、これからも油断しないで、せきエチケットや手洗いを徹底してほしいとおもいます。
また、今後A香港型の流行により流行期が長期化することも心配です。
予防接種の目的
はしかは、空気感染で感染し、最近まで日本国内での死亡者も見られていた病気で、有効な抗生剤などの治療法のない病気です。MRワクチン接種の強化で、国内での発生数もほぼ見られなくなり、日本は、はしかの制圧国となっております。さて世界保健機関(WHO)は26日、全世界で2016年のはしかによる死者数が推定9万人となり、初めて10万人を切ったと発表しました。2000年の死者は55万人以上だったものが、急激に減少し、専門家は「予防接種の普及が信じ難い効果を上げている」と指摘しています。2000年以降、推定55億回分のはしかワクチンが子どもに提供されており、世界的に予防接種が普及してきた結果と考えられます。一方でナイジェリア、インド、パキスタン、インドネシアなどでなお2千万人以上の子どもが予防接種を受けられておらず、課題だとしています。
このことからわかるように、予防接種は、個人の単位では、自分たちの身を守るためですが、国、地球単位では、病気の制圧を目的に行われています。
専門家は「予防接種は年平均130万人の生命を救っている。このペースで進めば、われわれが生きている間のはしか完全制圧も可能になりそうだ」と述べています。
肥満の子、40年で10倍に
世界の肥満の子どもの人口が過去40年間で10倍に増え、1億2400万人になりました。世界保健機関(WHO)が11日に推計を発表しました。5~19歳の肥満の割合は、1975年には男女とも1%より少なかったのですが、2016年には男子約8%、女子約6%になりました。太平洋の島国ナウルやクック諸島で30%を超えるなど、特に所得の低い途上国で急に増えています。安くてカロリーが高く、栄養が少ない食品にたよりがちな食生活などが影響しているといいます。先進国ではアメリカが高く、日本は最も低い国の一つでした。まだ、世界に比べ、日本の子供達の肥満は少ない方ですが、コンビニの普及や外食の増加、ジュースも昔1パック200mlだったものが、今は、500mlペットボトルが主流なるなど、肥満の子供が増える危険因子が増えています。肥満度30%以上の肥満の子どもの多くはすでに糖尿病などの生活習慣病を発症しているという報告もあります。気をつけたいところです。
この2年でおたふくかぜが原因の難聴が336名
日本耳鼻咽喉科学会の全国5565施設を対象とした初の本格的な調査で、おたふくかぜが流行した2015年1月から2016年12月までの2年間に、少なくとも336人が「おたふくが原因の難聴」と診断されていたとのデータを発表しました。同調査の回答率は64%とのことで、実際のおたふくかぜが原因の難聴患者はもっと多いと考えられます。
このうち約80%(260人)に、会話が困難など、日常生活にかなりの支障を来す「高度以上の難聴」の後遺症が見られ、発症年齢は2〜3歳が最も多く、次いで6〜13歳、20歳代後半から40歳くらいまでの「子育て世代」の成人が多くみられたのもこの調査の特徴的でした。家庭内で子供がおたふくかぜに罹患し、予防接種歴や罹患歴のない親が感染している可能性が考えられました。
おたふくかぜによる難聴は、治療ができないため、難聴になってしまうと、人工内耳をいれても回復しません。
おたふくかぜが原因の難聴は、おたふくワクチンで防ぎ得る合併症です。日本を除く先進国では、小児への2回の定期接種が導入されていて、この治らない難聴をなくしています。日本は唯一、先進国の中で定期接種になっていません。任意接種の接種率は、30〜40%です。