栄養士講座 「供食」について知っていますか
食欲の秋がやってきます。
こどものいるご家庭では、家族みんなで一緒に食卓を囲んでいるでしょうか。
昨今新型コロナウイルス発生に伴い、食事については「料理に集中、おしゃべりは控えめ」とされています。
食卓において、気を付けることは大切ですが、こどもたちの供食(食事を家族や仲間などと一緒に食べること、何を作ろうか話し合って一緒に料理をすること、食事の後においしかったねと話すことも含まれます)の機会を無くさないようにしましょう。
食事を共にすることと、健康や良好な食生活を送ることに関連があることが分かっています。誰かと食事を共にする頻度が高い人は、心の健康状態について「気が散る、根気がないなどの自覚症状が少ない」こと、食生活について「野菜や果物などの食品の摂取頻度が高い」傾向がみられるそうです。
孤食(一人で食べること)がほとんどなく、毎日誰かと食事を共にしている人は、毎日「主食・主菜・副菜」をそろえていて、食事のバランスが良い傾向にあります。誰かと一緒に食事をつくったり食べたりすると、美味しさも楽しさもアップすることを忘れないでくださいね。
メイプル薬局管理栄養士 佐野文美
栄養士講座「こどもの肥満について」
こどもの肥満は、体に過剰な脂肪が蓄積されている状態で、主に肥満度というものを使って評価します。
肥満度は、標準体重に対して、実測体重がどのくらい上回っているのかを示すもので、成長曲線の身長と体重のバランスをみます。
・幼児で15%以上が太り気味・学童で20%以上が軽度肥満とされ、成長曲線のカーブに沿って、身長と体重が伸びているのかを確認することが大切です。
成長曲線と肥満度どちらも併せて評価をして、急激な増加や伸び止まりがあれば医師に相談するようにしましょう。
肥満は、生活習慣病の原因となり、糖尿病、脂質異常症、高血圧などを発症することがあります。また、こどものころから肥満だと動脈硬化が進行することがあり、脂肪肝や睡眠時無呼吸を起こすこともあるとされます。
肥満を予防するには、1日3食バランスよく食べることが基本です。
また、なるべく毎日、同じ時間に食事をすることも大切です。
食事は適切な量を摂取して、極端なおやつ・間食を減らしましょう。
栄養相談では肥満予防についての相談も実施していますのでご利用ください。
栄養士講座「必要な水分量について」
今年は暑さがとても厳しいですが、上手に水分を摂っていますか?
水分は体を構成する大切な成分で、幼児で約70%、成人男性で約60%、成人女性と高齢者で約50%程度は水分が占めています。
体内の水分を20%失うと死亡する恐れがあるといわれ、水は人間にとってとても大切なものです。健康のために水を飲もうという取り組みが、厚生労働省後援のもと行われています。
熱中症だけでなく、脳梗塞、心筋梗塞など様々な健康障害を予防するためにも
こまめに水を飲みましょう。喉が渇いたと感じたら脱水の可能性もあります。
朝起きたとき、入浴後、寝る前、スポーツの前後に水分を摂るようにしてください。
1日の必要な水分摂取量は、成人の場合、食事から0.6~1ℓ程度・飲み水で1.2ℓ程度・体内で作られる水(代謝水)が約0.3ℓ程度とされています。子どもの水分の目安は年齢によって異なりますが、体重1㎏あたり、2歳児で115~125ml(体重12㎏の場合約1400ml)6歳児で90~100ml(体重19㎏の場合約1800ml)必要とされています。
水分補給は、早めにこまめにおこないましょう。
メイプル薬局管理栄養士 佐野文美
院長講座「熱中症」
だんだんと暑くなってきて、熱中症が心配される季節になってきました。
子どもは体温の調節がまだうまくいかないので、熱中症になりやすいともいわれています。日常よくみられるのは 熱疲労 という状態で、
●軽度から中等度の脱水がありますが、体温はそれほど上昇していません
●めまいや頭痛に加え、筋肉の痙攣(こむら返り)が起こることもあります
●おなかの症状があるのも特徴で、おなかの臓器への血流が悪くなったり、
めまい自体が吐き気や嘔吐を引き起こすと考えられています。
この状態で放っておくと悪化して重症化してしまう可能性があるので、気づいた時点でなるべく早く対処する必要があります。熱中症になっても、初期のうちに適切な対処をすれば進行を防げます。もしかしたら熱中症かも!と思ったときに、まずやるべきことをみていきましょう。
「涼しい場所に移動する」
熱中症は屋内・屋外問わず、外気温や湿度が高いときに発症します。
屋外:風が通る日陰、屋内:できれば空調できる場所への移動が望ましいです。
衣類も脱がせるかなるべく緩めるようにし、風が通るようにして寝かせてあげましょう。
「体を冷やす」
体の中で大きな血管が通る部位を積極的に冷やしましょう。
具体的には、首の後ろ、脇の下、太ももの付け根です。
低温やけどしないように注意しながら、氷嚢やアイスノンを当ててあげましょう。すぐにこうしたものが手に入らない場合には、自販機などで売っている冷えたペットボトルでも代用できます。
また、熱を逃すために、表面を少し濡らしたあとにうちわなどで扇ぐのも効果的
です。薬局などで販売しているジェルシート(冷えピタ)は体温を下げる効果はないので、注意しましょう。
「水分を摂らせる」
意識がはっきりしているようであれば、冷たい水分を与えて中から冷やすのも効果的です。熱中症では脱水は必ず存在するので、脱水の補正と、体温を下げることの両方に有効です。水分はお茶や水ではなく、必ず経口補水液など塩分を含んだものにしましょう。
経口補水液が手に入らない場合には、自作することもできます。
水500mlに対して塩ひとつまみと砂糖大さじ2杯程度が適切な分量です。
こどものクリニック中山医院 院長
栄養士講座「夏の食べ物と作用」
暑い日が続いていますね。
早くも夏バテや暑気あたりなどの症状が出ている方もいるのではないでしょうか。
旬の食材を摂る事は気候や風土を考えた上でとても良いとされています。夏が旬の食べ物にはどんな作用があるでしょうか。
●『きゅうり』・・・ 熱を冷まし、余分な水分を排出する作用があります。暑気あたりに良いとされ、胃腸が弱っている場合は加熱して食べると良いです。
●『オクラ』・・・ 熱を冷まし、ネバネバ成分が胃の粘膜を保護して胃の働きを助けてくれます。
●『スイカ』・・・ 体内にこもった熱を冷ます清熱作用と、水分調節作用があります。ただし、体を冷やすので胃腸が弱っている時や冷え性、下痢体質の人は食べ過ぎに注意しましょう。
他にも、アスパラガス(初夏頃)、とうもろこし、トマト、なすなども旬の野菜です。汗とともに失われがちなミネラルを食材から摂れるようにしたいものです。また、卵や豚肉などに多いビタミン群を摂ると糖質がエネルギーに変わりやすくなり、スタミナ増強につながります。たんぱく質も忘れずに摂ってくださいね。
夏も元気に過ごすため、バランスの良い食事を目指しましょう。
メイプル薬局管理栄養士 佐野文美