インフォメーション

食物を床に落としたときの「5秒ルール」の真実

2016年10月05日

食物を床に落としても、すぐに拾えば大丈夫―そんな「5秒ルール」を使ったことのある人は多いだろう。しかし、その食物が本当に安全かといえばおそらくそうではなく、細菌汚染は1秒未満で発生しうるという調査結果が報告されました。

研究を実施した米ラトガーズ大学(ニュージャージー州)のDonald Schaffner氏らは、スイカ、パン、グミのキャンディなど、性質が異なるさまざまな食物を、セラミックタイル、ステンレススチール、木、絨毯などの面に落下させ、どのくらい菌がつくかを評価しました。それぞれの面はEnterobacter aerogenesというサルモネラ菌に似た細菌で汚染し、完全に乾燥させた後、食物を落として接触させました。

接触時間がそれぞれ1秒未満、5秒、30秒、300秒の場合にわけて、面から食物への細菌の移行率を評価した。128種類のシナリオを各20回、計2,560回の測定を行った結果、細菌の移行率は、細菌に汚染された面への曝露時間の長さと、食物の水分によって上昇していたようです。ただし、細菌汚染は1秒未満でも起きうることも判明しました。

Schaffner氏は、「細菌の移行リスクは食物の水分に最も影響されるようである。細菌は足があるわけではないので、水分を伝って移行するからだ。また、通常は、食品の接触時間が長いほど細菌汚染も多くなった」と話しています。実際に食物を落としたときの汚染リスクは、スイカで最大、グミのキャンディで最小であった。絨毯に落とした場合はタイルやステンレススチールよりも汚染が少なかった。木に落とした場合は汚染レベルにばらつきがあったという。

小児科医から育メンの勧め

2016年09月29日

米小児科学会が父親の育児における役割に関する報告書“Father’s Role in the Care and Development of Their Children”を発表しました。

この報告書では、「父親」ならではの関わりが、子供の健康に与える影響について3つ挙げています。

  1. ・父親による遊びはより興奮度が高く、活気にあふれている。父親とのいわゆる「はちゃめちゃ(rough and tumble)」な関わり合いで子供はリスクの範囲(safe risk)を知り、母親との大人しめの関わり合いで安心と均衡を得る
  2. ・父親は乳幼児に対し、言語発達を促しうる新しい言葉を話そうとする傾向が高い。子供が3歳時点の父子のコミュニケーションでその後の言語発達を予測することができる
  3. ・父親と十分な関わりがある思春期の小児は高リスク行動を起こしにくく、抑うつ症状にかかりにくい。幼少期から父親と十分な関わりがある女児は早発思春期のリスクが低下する他、早期の性活動や若年での妊娠が少ない

休みの日だけでなく、毎日の子供との関わりってとても大事なんです。

はしか

2016年09月08日

はしかの話題が世間を騒がせております。そんなはしかぐらいでとか昔はいっぱいいたよとか最近いないからうつしてもらえないんだよねとか聞きますが、実は、はしかは大騒ぎをするような感染症なのです。

はしかは肺炎、脳炎など重篤な合併症を起こし死亡する危険のある感染症(2000年以前は全世界で年間80万人以上が死亡していました)で、薬で治すことができません。そのため、ワクチンで予防することが大事です。

日本は昨年、WHOから「麻しん(はしか)排除状態にある」と認定されて、今後は今回のニュースになっている様な外国から持ち込まれる「輸入症例」に注意することになります。そういった場合、医療機関での早期診断が非常に重要になります。2009年以降の麻しん(はしか)報告数は年間500例を超えることはなく、「国民衛生の動向」統計表によれば昨年の麻しん(はしか)報告数は35例でしたから、最近の若いお医者さんは「はしか」患者を診たことがない人も多い様です。実際わたしも20数年前に東京で大流行があった際に、都内の病院勤務していたのが、記憶にある最後かもしれません。

はしかのワクチンの接種率は2013年時点で1期が95.2%、2期が93%です。まだ100人中数人ははしかにかかる危険があります。ましてや2回接種をしていない成人は、はしかの予防接種の効果がきれているかたも多く、そのような方が、はしかがまだ流行している外国(中国や東南アジアなど)に行き、感染してきて、そこからの今回の関西空港での感染のような2次感染を起こす危険があるので、いくら麻しん排除状態にあるからといって安心は出来ないのです

先にも書きましたが、ワクチンの効果は1回の接種でも95%以上(2回接種で更に高くなります)です。
麻しんは感染症の中でも最も感染力の強い疾患の一つですから、ワクチンを受けられる年齢になったら出来るだけ早く受ける様にしてください。また、20〜30代前半の年の方は、はしかにかかる危険があることを忘れないでください。できれば、20〜30代前半の年の方も2回目のワクチンを接種することをおすすめします。

 

pepperくんがやってきた。

2016年09月07日

ご無沙汰してしまい申しわけありません。クリニックの移転からもうすぐ2ヶ月になり、スタッフもクリニックも保育施設も落ち着いてきました。そんなクリニックに、先週から「Pepperくん」が遊びに来ています。期間限定ですが、診察を待っているみなさんといろんな遊びをしてくれます。クリニックに来た時には、名前を呼んであげてください。

最強の手洗い法は6ステップ、

2016年04月24日

風邪や感染症の予防には手洗いが大事ですが、実際の洗い方にはいろんなバリエーションがあり、WHO(世界保健機関)と米国CDC(疾病予防管理センター)では、それぞれ違う方法を勧めています。でも新たな研究によると、WHOが勧める6ステップの方法のほうが、CDCの方法より効果があるようです。

グラスゴー・カレドニアン大学のJacqui Reilly氏率いる研究チームは、WHOの6ステップ法とCDCの3ステップ法を比較し、前者に軍配を上げました。彼らは短期治療用病院の医師42人、看護師78人に協力してもらい、彼らがアルコールベースの溶剤で手を洗ったときの細菌の減り方を分析しました。被験者は60人ずつに分かれ、それぞれがCDCとWHOどちらかの勧める手洗い法を実践しました。

その結果、WHOが勧める6ステップのほうが細菌の数を減らす効果が高いことがわかったんです。WHOの方法で手を洗った人は、手に付いた細菌の数が1ミリリットルあたり3.28CFU(コロニー形成単位)から2.5CFUに減っていましたが、CDCの方法では3.08CFUから2.88CFUという小さな変化だけでした。実際6ステップとはどんなものかというと…。

 

1. 手のひらをこすり合わせる。
2. 右手のひらで左手の背を、左手のひらで右手の背をこする。
3. 両手のひらを合わせ、両手の指を組んで指の間を洗う。
4. 両手を組み合って、指先を反対の手のひらでこする。
5. 右親指を左手で握ってクルクルと洗い、反対の手も同様にする。
6. 右手の指先を左手のひらの上でクルクル動かして洗い、反対の手も同様にする。

 

これだけしつこく洗うんだから、効果も高いということでしょうか。ただ6ステップだと手を洗うのに42.5秒もかかってしまい、3ステップより7.5秒長くなっていました。それに残念ながら、被験者にはWHOとCDCそれぞれなりの「正しい」手洗い法を見せていたにもかかわらず、それをきちんと実践していたのは参加者の65%だけでした。

ともあれ、3ステップより6ステップの方が効果的ということで、論文では「今3ステップを実践している施設でも6ステップの導入を考慮すべき」としています。この論文はInfection Control & Hospital Epidemiologyに掲載されています。

この実験は病院で行なわれたんですが、普段の生活でも、人混みから帰ってきたときとかにはこういう洗い方をしたほうがよさそうですね。ただ米Gizmodoのコメント欄では「そもそも男はトイレに行ったって手なんか洗わないよね」という話で盛り上がっていて、「どういう洗い方がいいか」という以前の話のようです。日本ではどうなんでしょうか?

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